お菓子屋のポポロ-12
2020年7月20日
2021年2月3日
いくらなんでも礼儀知らずの犬ではありません。
おいしいお菓子をおなかいっぱい食べさせてもらったうえに、楽しい時間を過ごしたのですから、なにかできることをしたいと考えていたのです。
それに、いくらおじいさんが親切で、どんなにお店がはやっているとはいっても、だまってお店のものを食べてしまったおわびはしなければなりません。
「おじいさんはのんびりしててよ」
ポポロはすぐに出かけようと、お店の入り口に座ってしっぽをふりました。
おじいさんは「よしよし」
とうなずくと、
「それじゃあ今、お金をやろう」
そう言って、さいふを入れたリュックサックをポポロに背負わせてやりました。
ポポロはおおいそぎで出かけていきました。
ちょうどそのころ、近くの大きなデパートのお菓子屋さんを取材しようと、テレビ局の人がとおりかかりました。オープン記念の安売りセールのチラシを出して、毎日たくさんのお客さんで大にぎわいなのです。
「今日はお菓子の特集だ。そうだ、町の人達の評判も聞いてみよう。きっと、みんなあのデパートのお菓子が一番だって答えるさ。なんたってすごい行列ができてるんだからな」