なんでも屋のみけねこ-1
2020年8月31日
2021年8月14日
良太くんが、ランドセルをせおって家に帰ろうとすると、道のまんなかにチラシが一枚落ちていました。
わたしは『なんでも屋のみけねこ』でございます。
お部屋のそうじ、せんたく、おりょうり、
へやにもつのおとどけ、おつかい、
おるすばん、などなど……
どんなことでもおまかせください。
黒の太いペンでかかれたそのチラシは、紙はしわくちゃで、ざらざらしていました。
いつも家にとどくチラシには写真があって、赤や黄色のカラフルなもようがついて、ねだんが書いてあるものです。
けれども、そんなものはどこにもないのでした。写真のかわりに、おおまかな地図がありました。
ねだんのかわりに、あまりかわいいともいえないようなねこのイラストと、あしあとがついていました。
それでも、良太くんはこのねこに会ってみたい気がしました。
「なんでもって、本当になんでもしてくれるのかな?」
ふと、お店のカウンターに本物のみけねこが立っていて、エプロンをしてうごきまわっているすがたが目にうかびました。
お皿をあらったり、お弁当を作ったり、そうじきをかけたりするのでしょうか。
字がかけるのだから、手紙を出したりするのかもしれません。
「そんなねこがいたら、おもしろそうだな」
と良太くんは思いました。
そこで、ちょっとお店をのぞいてみることにしました。