なんでも屋のみけねこ-3
2020年9月7日
2021年8月14日
公園につくと、近所の子どもたちがすなばやブランコであそんでいました。
そばでエプロンすがたのお母さんたちがおしゃべりしています。
良太くんは、さっそく『なんでも屋』をさがそうと、キョロキョロあたりをみまわしました。けれども、どこをさがしてもそれらしいお店も看板もありません。
「おかしいな、たしかにここなんだけど……」
そのとき、かわいらしい声がしました。
「ようこそ、なんでも屋へ」
子どもたちの声にまじって、たしかにそう聞こえました。
よく見ると、みけねこがいっぴき、すべりだいの上にちょこんとすわっていました。首に青いリボンをむすんで、めがねをかけて、
「ここですよ、ここ!」
と良太くんにむかって手まねきしています。
良太くんは、胸がドキドキしてその場からかけだしました。こんなことするねこなんて、ぬいぐるみかお店の看板でしか見たことありません。
それに、もしかしたら『みけねこ』はお店の名前だけで、店員さんはふつうの人間かもしれないと、心のどこかでうたがっていましたから、今こうして本物のみけねこがあらわれてくれて、とびあがるほどうれしかったのです。
「あのう。ボク、仕事をたのみたいんだけど」
良太くんは、さっそくお願いしました。
「はい。どんなことでもひきうけますよ。今のところ、スケジュールは空いておりますから」