きつねとCDウォークマン-2

「おかしいなぁ。道まちがえたのかな」ぼくは不安になって立ち止まった。

そのとき、だれかが山からかけおりてきたんだ。それもすごいスピードで、

「うわぁ、大変だぁ! たすけてくれぇ」

なんてさけびながら。
ぼくは少しイラッとして、
「おい、走ったらあぶないじゃないか。気をつけろよ」
と言った。
するとそいつは、
「大変なんだよ。化けものが、化けものがいたんだよぉ」
って足をぶるぶるふるわせている。
気のきいたヤツなら、ぼくがわすれたCDウォークマンでも持ってきてくれるのになあ。
ぼくはのんきにそんなことを思いながら、ふりむいてびっくりしてしまった。もっていたおりたたみのカサが、地面でひらいたまま左右にゆれた。

あいては小さいきつねだった。
「そりゃあもう、こわいんだよ。見たこともないし、山の中では一度も会ったこともない、不思議ながっこうをしているんだ」
きつねは息をはずませながらこういった。

ぼくはあたまがおかしくなりそうだった。
それなのに、きつねに、
「化けものって、どこに?」
と、しつもんしていた。
とつぜんあらわれたきつねの話を、冷静にきいているこのぼくも、ちょっとおかしくなっているのかもしれない。
「あの、花ばたけの中だよ」
「どんなヤツだったんだ?」
するときつねは、両手でまるいかたちをつくってみせた。
「体はまるくてひらべったくて、手や足がいったいどこについているのかわからない。だけど、長いしっぽが二本生えていて、しっぽのさきにはまるいものがついていて、近づくとさわがしい音をたてるんだ。ぼくはびっくりしてにげようとしたんだけど、そいつはしっぽでぼくの足にからみついてはなそうとしない。ぼくは必死でもがいて、そいつの体をたたいてやったら、シュンって変な音を出したんだ。




eguchi
  • eguchi
  • 子どものころから30年間趣味で、動物が出てくる童話を書いている。2020年に動画をきっかけにブログを始める。
    猫大好き!子どもとネコカフェやカラオケに行くのが楽しみ。