きつねとCDウォークマン-3

それでも、まだしっぽははなれないもんだから、もういちどたたいてやったら、今度は大きな口をあけて、ぼくにかみつこうとしたんだ。あいつ、口の中に目玉があるみたいで、中でピカピカ光るものを見たんだよ。ぼくはもうにげるしかなかったんだ。ただもうおそろしくて、からまった足をふりほどくのがやっとだったよ。そこからは、どこをどう走ったのかもおぼえていない。夢中だったんだ。そしたら、いつのまにかこんなところに出てきちゃってね」
ベラベラと、きつねはいっきにしゃべりまくった。

……今日はおかしな日だなあ。
急に雨はふるし、見覚えのない黄色い花ばたけ。
それに、人間みたいにおしゃべりなきつね。
最後はきみょうな化けものか。
この山にはおかしなヤツがいるものだ。

ぼくは、しばらく考えこんだ。
「そんなの、聞いたことないな。なにかとまちがえたんじゃないのか? ぼくもさっきこの近くで絵をかいていたけど、そんな変なヤツ見なかったよ。どうせ、草かなにかが足にからまったんだろ?」
あぁ、それにぼくだってどうして、こんなにふつうにきつねと会話なんかしているんだろう?
「そんなはずないよ、ぼくはずっとこの山でくらしてきたんだから。草と見まちがうはずはないよ。ああ、こわい。今にも大きな口が目のまえにあらわれそうだ」
きつねは、心配そうにきょろきょろとあたりを見まわした。



きつねとCDウォークマン-4

eguchi
  • eguchi
  • 子どものころから30年間趣味で、動物が出てくる童話を書いている。2020年に動画をきっかけにブログを始める。
    猫大好き!子どもとネコカフェやカラオケに行くのが楽しみ。