若がえりの実-11

6日目のろっこは、まるで赤ちゃんのように、よちよち歩きのこねこでした。

「いよいよあしたね。あしたのこの時間、この場所で、とうとうあなたにこの実をひとつぶ分けてあげられるのよ。 あなたは身も心もこの実を受け取るのにふさわしいわね」
「おう。もうタバコもすわねえし、酒ものまねえ。 ごみをちらかすのもやめたよ。言いつけも守るぜ」
ろっこはうんうん、とうなずいて、
「それを聞いて安心したわ。それじゃ、また明日ね!」

かくれて聞いていたいちか、ふたば、みいこ、しずか、ごまりんは、ろっこがセリフを覚えて、カラスにちゃんと言えたのを見届けてホッとしました。

6ぴきの姉妹は、今日の夜はみんなでとなりの町に泊まりにいくことにしました。
カラスに見つからないようにするためです。
そして、7日目。
カラスがドキドキしながらやってきたとき、
いちかたち6ぴきのこねこはだれもいませんでした。
そこに待っていたのは母ねこでした。
母ねこは、たった一言こう言いました。
「あの子なら、私のおなかの中ですよ」
母ねこのおなかの中にいるのは、もちろん、もうすぐ生まれる7番目の赤ちゃんでした。
でも、そんなこととは知らないカラスは、
(まさか‥‥! 昨日のこねこが、おなかにもどったのか?)
と思い込んで、みるみるまっさおになっていきました。
「若がえりの実なんて、ごめんだよ〜!」
カラスはさけびました。
若がえりの実のおそろしさに、こしをぬかしたカラスは、飛び上がったとたん、電柱に頭をぶつけて、ふらふらしながら、どこかへ飛んで行ってしまいました。

カラスは2度と、この町にやってきませんでした。

ごみをちらかすカラスがいなくなった町は、またしずかでおだやかな町になりました。

eguchi
  • eguchi
  • 子どものころから30年間趣味で、動物が出てくる童話を書いている。2020年に動画をきっかけにブログを始める。
    猫大好き!子どもとネコカフェやカラオケに行くのが楽しみ。